顧客の問い合わせ理由である「コールリーズン」の分析が、コールセンターの業務効率化や顧客満足度向上につながるとして注目を集めています。この記事ではコールリーズン分析の基本から具体的な実施手順までを解説します。
目次
コールリーズンとは?
コールリーズンと放棄呼削減
コールリーズンの分析方法
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1. コールリーズンとは?
コールリーズンとは、顧客がコンタクトセンターに問い合わせる際の動機です。
コールリーズンには例えば以下のようなものがあります。
1. 製品またはサービスに関する問い合わせ
・商品、サービスの内容を知りたい
2. サポートやトラブルシューティング
・サポート人員を派遣してほしい
・代替品を用意してもらいたい
3. 注文関連
・商品を注文したい
・キャンセル、解約したい
4. フィードバックや苦情
・新商品への意見
・店舗の対応が気に入らない
5. 請求や決済関連
・支払い方法を変更したい
・請求書を発行してほしい
コールリーズンを適切に理解し分析することは、コンタクトセンターの運営において重要な意味を持ちます。主に以下のようなメリットがあります。
1. 効率的なリソースの配分
コールリーズンを基にして、コンタクトの優先度を設定することができます。また、コールリーズンをオペレータのスキルと結びつけることで、コール予測と人員計画を連携させることができます。
2. 顧客満足度の向上
コールリーズンごとにパフォーマンス管理をすることで、リーズン単位での品質測定および強化が実現できます。さらに他部署との連携におけるVOC展開にも役立ちます。
3. 問題の早期発見と解決
コールリーズンの傾向や原因分析によって、製品やプロセス課題の特定に役立ちます。
4. 運営効率化
コールリーズンを分析し、自動応対可能な領域を洗い出すことで入電数削減につながり、放棄呼削減や対応満足度向上につながります。
コールリーズンを整理・分類・蓄積すると、コールセンターの業務効率化はもちろんのこと、企業活動の基礎データとしても活用することができます。
2. コールリーズンと放棄呼削減
どのコールセンターでも削減努力が続けられている「放棄呼」ですが、コールリーズン分析によってこれをできる限り少なくすることが可能です。
着信全てを同じサービスレベル(オペレーターにつながるまでの時間)で対応していては、リソースの限られたコールセンターで放棄呼を減らすことはできません。
そもそも放棄呼は、お客様が「もう待てない」と思って切ってしまうことで起きます。そのため、お客様の我慢の限界時間内に応答できれば放棄されないことになります。我慢の限界時間は問い合わせ内容の緊急度と重要度で決まります。
例えば「クレジットカードを紛失したので機能を停止したい」といった問い合わせは緊急度・重要度の高い内容になり、即座の対応が必要となります。逆に資料請求の問い合わせは比較的に緊急度・重要度が低い内容に分類されるでしょう。
お客様のコールリーズンごとに「平均放棄時間」を測定し、各コールリーズンに対する人員配置を決定することで放棄呼を削減することができます。
▼コンタクトの緊急度・重要度と対応方針
またこのように整理した際、緊急度・重要度が低いものの中には、繰り返し発生している問い合わせや不要不急の問い合わせといった、そもそもコールセンターで受ける必要のないものが存在します。
こういった問い合わせは自動応答システムやFAQなどによる自己解決を促すことが非常に効果的です。自己解決率を向上させることで全体の入電数を削減し、より重要な入電に人員を配置することで放棄呼を減らすことができます。
3. コールリーズンの分析方法
コールリーズンの収集
まずはコールリーズンを収集する必要があります。主な収集方法にはCMSとCRMシステムがあります。
CMS(Call Management System)は、コールセンターの通話を記録、ルーティング、追跡し、オペレーターのパフォーマンスを測定し、顧客データを管理するためのシステムです。CMSの機能のひとつにCWC(Call Work Code)という機能があり、入電数が多いコールリーズンをCWC機能にあらかじめ登録しておくことができます。すると、オペレーターが通話中や通話後にCWCコードを入力することで、通話記録をコールリーズンでカテゴライズすることができます。
CWCは操作が簡単ですが、登録されていないコールリーズンは記録されないため、CWCコードを定期的に見直し、更新することが重要です。
ほかにも、CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる顧客管理システムを用いることもできます。顧客からの問い合わせ時に顧客対応の履歴としてコールリーズンを記録することで、後に集計が可能です。
CRMで管理されていない顧客からの問い合わせは記録から漏れてしまうため注意が必要です。
コールリーズンの種類は20~30個が目安と言われています。コールリーズンが多すぎると対応の方向性を立てづらくなり、逆に少なすぎると意味のある示唆を出せなくなります。
コールリーズンの分析
問い合わせがコールリーズンに分類されたら、次はコールリーズンを集計して件数が多い順に並び替えましょう。
コールリーズン分析で優先順位をつける際に役立つのが「パレート図」です。頻度や数を並べた棒グラフとそれぞれの割合をどんどん足し合わせた折れ線グラフを組み合わせた図で表します。上位の要素が全体の大部分を占めていることを視覚的に確認でき、優先して対応すべきコールリーズンがはっきりします。
上図はコールリーズンをパレート図で可視化した例です。上位10個のコールリーズンで、全体の80%を占めている様子がわかりますね。上位10個のコールリーズンを優先的に対応することで効率的にコールセンター運営効率化を実現できます。
優先コールリーズンに対する打ち手
優先して対応すべきコールリーズンがはっきりしたら、放棄呼削減のために各コールリーズンの対応方法を検討します。
件数上位のコールリーズンの中には、対応難易度の高いものも低いものも含まれているはずです。対応難易度の高いものはオペレーターで対応し、低いものはFAQなどでユーザーによる自己解決を促すのがよいでしょう。
その第一歩として、まずコールリーズンを「自己解決可能なもの」と「自己解決不可能なもの」に分類することをおすすめします。(下図)
自己解決とは、問い合わせ時にWeb上でFAQやサイトで確認することにより、ユーザー自身で解決することです。
自己解決可能な問い合わせは、FAQのQA追加やリライトで入電数の削減を狙うことができます。
自己解決不可能な問い合わせは、トークスクリプトの改善や、人員計画の最適化によって平均対応時間の短縮や顧客満足度向上を狙うことができます。
このようにコールリーズンを起点として、対応の優先度をつけ、自己解決可能か仕分けていくことで、入電数削減・放棄呼削減・顧客満足度向上を実現することが可能なのです。
4. コールリーズンの分析ならDigestCallへ
コールリーズンの分析をしようと思っても、以下のような課題で手付かずになっていませんか?
コールリーズンの整理ができておらず、音声データのみが蓄積されている。
CMS/CRMでコールリーズンの記録はしているものの、有効な施策につなげられない。
コールリーズンを整理する業務工数が大きすぎるため、手をつけられていない。
新商品や新キャンペーンのたびにコールリーズンが変化するため、対応が後手に回ってしまう。
『DigestCall』は企業に寄せられる電話音声データをAIが自動で分析し、問い合わせの傾向やコールリーズンを可視化するサービスです。
コールセンターに蓄積された音声データをアップロードしていただくだけで、音声認識AIがテキスト化し、ChatGPT搭載型の分析エンジンが問い合わせ内容を要約し、カテゴライズします。分析結果はダッシュボードにグラフとして表示され、最新の問い合わせ状況を迅速に把握することができます。
また、コールセンターの問い合わせ対応効率化PJの経験豊富な弊社コンサルタントが、分析から問い合わせ対応効率化の施策提案まで一貫して対応いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コールセンターの効率化を検討の際は、ぜひご活用ください。
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